マレーシアのハラル認証「JAKIM」
マレーシアの認証は国が運営しており、略称JAKIM(ジャキム:マレーシア連邦政府総理府イスラーム開発庁)と呼ばれています。
現在マレーシアはハラールの工業団地(ハラールパーク)を建設し、外国の企業を積極的に誘致しています。
マレーシアJAKIMの歴史
マレーシアJAKIMのハラル認証制度は、1960年頃にマレーシアで始まりました。イスラム教が国教であるマレーシアですが、イスラム教徒以外も多く暮らしています。経済発展により輸入品や加工品が急増し、何が安全であるのかムスリムが判断できなくなったことから、国がチェックをし、ムスリムが安心して食品を購入できる制度を作りました。
他国との大きな違いはマレーシアのハラル(ハラール)認証は国が運営していることです。国策でハラル認証を推奨し、略称JAKIM(ジャキム:マレーシア連邦政府総理府イスラーム開発庁)と呼ばれています。現在マレーシアはハラル(ハラール)の工業団地(ハラールパーク)を建設し、外国の企業を積極的に誘致しています。つまりマレーシアのハラル(ハラール)認証JAKIMは、
- ブランドであり
- 歴史があり
- マニュアルと運用が整備されている
国が運営していることから、日本国政府も最近はハラル製品に関してMOU(業務提携)を結ぶようになりました。宗教に関したことでは非常に珍しいケースでもあります。
※経済産業省ホームページより「日マレーシア・ハラル協力に関する覚書に署名しました。」
www.meti.go.jp/press/2018/11/20181127007/20181127007.html
マレーシアのハラル(ハラール)認証はこうして世界のイスラム市場から一目置かれた存在になっていきました。
JAKIMハラル認証の基準
世界のハラル(ハラール)認証制度はマレーシア式が席捲しましたが、未だに「ハラル(ハラール)認証には世界統一基準がない」。ここがとても重要です。
世界には300以上のハラル認証機関があると言われていますが、世界的な統―基準は定められていないため、それぞれの認証団体(機関)によって判断や指導内容が異なります。例えば、ハラル(ハラール)認証制度の特徴のひとつは、認証に際して、原材料だけではなく製造環境にも対応が求められることですが、工場全体を対象として判断する認証団体(機関)もあれば、実質的にコンタミネーション(交差汚染)がなければ、同じ工場内でハラルでない商品を製造していても、製造ラインごとに判断し、認証団体(機関)によってチェックされた製造ラインに対しては認証を出すハラル(ハラール)認証団体(機関)もあります。
CODEXはCAC/GL 24-1997はハラルに関するガイドラインを定めているものの、実用的な基準とはなっていません。そしてハラル(ハラール)認証によっては洗浄による専用ラインの考え方、指導も異なる場合があります。食肉以外のハラル認証が不要な国もあります。例えば、中東諸国は、輸入する段階で群(ロット、輸入単位)としてハラル(ハラール)か否かの判断(書類審査、現物検査)を行うことが原則なので、国内市場にあるものは、特定売場を除き全てハラル(ハラール)ということになり、ハラルマークや成分表示の確認は必要とされません。
しかしJAKIMマレーシアスタンダードはサプライチェーン(認証取得者)のマニュアルが整備されています。製造業者はMS1500食品、MS2200化粧品、MS2424医薬品など物流事業者にはMS2400-1運送業務、MS2400-2倉庫業務小売業者はMS2400-3リテール業務など※MS1900:Quality Management System (イスラム観点含む)全てのマニュアルがあるわけではありませんが、これだけ細部に渡りマニュアルが整備されているのはマレーシアとインドネシアだけだと思われます。
細々と解説してきましたが、マレーシア式で最も注意すべき点はと畜方法とアルコールの残留濃度です。