インドネシアのハラル認証「BPJPH」
インドネシアにおけるハラール認証は、インドネシア・ウラマー評議会(MUI)によって書かれたファトワであるとされる。現状のインドネシアのハラール認証は、インドネシア・ウラマー評議会食料・薬品・化粧品研究所(LPPOM-MUI)の査定及び監査をもとに発行されるもので、イスラム法に従い、製品がハラールであることを保証するものである。ハラール認証を取得すると製品のパッケージにハラールラベルを添付することを要求される。
インドネシアハラール認証取得の流れ
インドネシアではハラール製品以外も流通が認められています。
※以下はハラール製品の輸出手続きの例
- ハラール認証申請
- インドネシアのBPJPHに対してハラール認証申請を行う。
※日本企業もオンラインより直接申請が行えるよう整備されてい るが内容は複雑で言語対応もインドネシア語(一部英語)しかない為、精通したコンサル企業に委託しなければ困難である。
- 審査、監査
- ハラール認証機関が申請者の提出した書類を確認し、問題なければ申請者の製造施設(会社及び工場)に出向き、政府より認定された監査機関が要件とする基準等に基づいて原料/施設の監査を実施。
※コロナの影響を受け、現在はオンライン監査となっている。
- ハラール認証証明書発行・輸出
- 全ての要件を満たすことが確認されたらBPJPHは申請者にハラール認証の証明書が発行される。
輸出者は衛生証明書等他の必要書類を申請・取得。該当品目をBPOMに登録し、「加工食品流通許可、ML番号」を取得する必要がある。
- 現地チェック
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- インドネシアに貨物到着後、税関や関連機関で書類審査を実施。
- 全ての書類に不備がなければ輸入許可。
規格・制度
インドネシアのハラール認証は、食品、医薬品、化粧品、その他製品のハラール認証は、イスラムの教えと整合的に、その製品がハラールであるということを明確に示すために行われる。生産者により継続的なハラール生産工程が保証されるためには、生産者自身により用意され、 LPPOM MUIによって承認された、ハラール保証制度 ( の適切な履行が必要であるとされている。
- HAS は事業者がハラール性確保のために準備・維持・履行する体制を整備。
- LPPOM MUIの規定に整合的な形式で、ハラール生産工程を継続していくことを目的としている。
- 事業者はハラール認証取得のためには HASに対応した体制整備が前提条件とされている。ハラール認証取得後も履行されなければならない。
ハラール保証制度(HAS Halal Assurance System)
インドネシアのHAS規格
HAS23000 | ハラール認証要件 御社の製品はこのHAS23000の適応範囲となる |
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HAS23000-1 | 認証要件・ハラール保証制度 |
HAS23000-2 | ハラール認証政策と手順 |
HAS23201 | ハラール食品原料要件 |
HAS23103 | 食肉加工に関するHAS基準のガイドライン |
認証期限と2024 年 10 月以降の規定
※現在は認証取得義務期日までの猶予期間であり、期日に至るまでは認証無し、または、インドネシア国家認証であるBPJPH以外の認証機関が発行したハラール認証でも輸出は行えている。
- 2019年、BPJPHは、動物由来の成分を含む飲食料品・非飲食料品、付帯するサービスを対象として、消費者向けにハラールと非ハラールを明示する制度を予定どおり 2019年10月17日より施行することを明らかにした。ただし、飲食料品について 5年、非飲食料品は7〜15年の移行期間を設ける。
- 対象製品・サービスを提供する事業者は、移行期間中にハラール認証を取得するか、非ハラールであることを表示する対応が必要となる。
ハラールではない原材料を用いた製品:「Tidak Halal」 非ハラールを意味するインドネシア語と商品やパッケージなどに明示することで、国内流通・販売が可能。
ハラール製品:BPJPH が発行するハラール認証を取得する※既にインドネシア・ウラマー評議会 ( の発行するハラール認証を保有している場合、運用規程の発布から3 年間は認証マークを利用できる。 3年以内に認証の有効期限が切れる場合は、更新に当たりBPJPH に申請が必要になる。
- 対応期限は対象製品・サービスごとに異なっており、医療機器 Dクラス 高リスク と生物学的製品 ワクチンなどは別途、関連規程で決定する予定 (2019 年 12 月現在 )
インドネシアBPJPHの注意点
インドネシアBPJPHハラール認証は、現状マレーシアJAKIMハラール認証と同じく国家が発行する認証として世界中で一番価値の高い認証と言われています。
約60の各国の認証機関とも相互認証をしており、中東や東南アジアへ輸出する製品にBPJPHのハラール認証があれば、そのままもしくは追加の添付資料を用意すればその国の認証を取得せずとも流通させることが可能です。しかし、審査、監査は非常に厳しく行われる為、設定されている基準は高い水準となっています。また、申請する際に問い合わせを行う窓口や審査、監査の過程でやりとりを行うスタッフの殆どがインドネシア語しか使用しない為、言語の点からも非常に取得難易度が高いです。
2024年10月には、インドネシアへ輸出する全ての飲食品にハラール認証の取得義務が枷せられており、期日までに認証取得できていない製品に関しては、通関をクリアできない法律が施行されています。申請から認証取得までには凡そ1年間を目安としておりますが、 2022年以降は世界中からの駆け込み申請が予測されている為、準備及び申請着手を早めにされる事をお勧めします。
2019年に法施行されてから既に3度、4度と細かい部分の改定が行われており、今後も規制や法律の条項が変更になる可能性は高いです。従来の基準で進めていた申請が部分的な改定で通用しなくなる事もあるかもしれません。そういったリスクに陥らない為に、商品選定や使用原料のチェック、製造ライン、輸出計画をしっかりと準備してください。
マレーシアやシンガポール、タイ等他国の認証を取得すれば、世界中に輸出する際の申請がインドネシア認証のように容易になる事ももちろんありますが、インドネシアに輸出する場合は、BPJPH認証しか通用しない為、輸出対象国をしっかりと調査、分析し対応を検討してください。
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(出所)農林水産省、 JETRO 、 BPJPH 、 MUI 、現地リリース情報等