タイ私立大学よりイスラムビジネス専攻の大学院生が来日!
先日2025年1月20日(月)四ツ谷麹町にあるタイ国大使館商務参事官事務所にて、クルーク大学(Krirk University)学生達の「日本のハラル市場も調査したい!」という思いに応えるべく、座談会を開催致しました。
ハラル・ジャパン協会からは事務局員の安部・株本が参加しました。
弊会の活動内容を交えながら、「ハラルとは?」から始まり、ハラル認証について、タイから見る日本と日本から見るタイなど、様々な視点でハラルビジネス談を展開します。
今回のハイライトとして、先生と学生達が思う疑問点3つをお伝えしていきます。
1. 日本のハラル認証団体は政府(国)からの支援や資金援助はありますか?
一番初めの疑問は、「ハラル」と「国」の関係についてでした。
恐らくこれは日本ではムスリムがどのように捉えられているのか、という意味も含んでいます。
イスラム教の基本的な考えは認知されていますが、詳細を知る人は少ないというのが日本の現状です。
そして日本にある認証団体は民間企業から成り、政府が関係している団体はありません。
宗教国家ではないゆえにどのようにしてサポートされているのか、そしてそれらは政府が関係しているのだろうか、と疑問に思うようです。
2.ハラルを理解する上で大切にしていることはありますか?
一番重要なことは「清潔」であること。その理解を基本にしてほしい、と彼らは話します。
ムスリムは、ただ豚を食べない、アルコールを使用しない、と捉えるだけではなく調理の過程や食事をする場所、自身も清潔であることが最も重要であるということです。
もちろん五行六信は理解していますが、今一度こころがけたいポイントです。
近年では、タイの輸入者から日本の企業へ認証取得を要求されることも増えてきました。
例えば、魚介類など今まで普通に輸出できていたものが、認証無しでは輸出できないとなると困惑もします。
食品に限らず、あらゆる面で「清潔」という点で日本の基準は高いですが、タイからするとその要求は単なる「清潔」だけでなくコンタミ(contamination:異物混入)の不安と恐れからくるものだ、ということでした。
たとえ綺麗な日本でもコンタミは危惧されるゆえ、「清潔が一番」の考えに基づく至って合理的な主張といえます。
ハラル・ジャパン協会はこうした規則や考え方などを、イスラム文化に馴染みの無い方やこれから輸出やハラル対応に取り組んでいく方へ、負荷をかけないよう分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
3.日本の認証で弱い部分、改善点はありますか?
この質問は少し考えるところですが、端的にいえば日本人がイスラム国家の照準に完璧に合わるのは難しい、ハードルが高いということです。
それはもちろん日本が宗教国家ではないことに起因し、適合できる能力とその必要性に海外とのギャップがあるからです。
ムスリム人口が30万人程、1%にも満たない日本と90%以上がムスリムの中東や東南アジアのイスラム圏では環境も意識も大きく異なります。
厳格に完璧でないことが日本の弱点と捉えるのか、それともその地の環境に適した日本のいち基準として確立していると捉えるのかは、消費者と各個人の信仰度によるものだと考えても良いのではないでしょうか。
そして誰もが必ずしもハイレベルな認証を取らないといけないわけではありません。
例えば、輸出の場合に多くの審査を求められ厳しく感じますが、インバウンドの場合は認証を取らなくても十分に国内対応が可能です。
ハラル対応を進める目的、目指す国や場所、必要な認証、などを吟味し準備すれば問題ありません。
以上のようなタイの学生達の疑問・質問、いかがだったでしょうか。
タイは仏教の国ですが、研究となると視点も興味も広がります。
中には現在サウジアラビアに住んでいる方も参加しており、最近現地で輸入された日本食をよく見るようになったと関心を示されていました。
日本の食材・原材料は日本の地方で作られていることも多く、小さい企業であれば輸出にまで手が届かない、自力では難しかったりもします。
協会としてはそんな良質な日本食を世界へ、そしてそれが地域活性化に繋がるようにという思いも込めて、積極的に輸出や海外展開もサポートしています。
認証取得に限らず、様々な形で弊会を活用して頂けたらと思います。
最後には、皆さんと記念品交換と撮影をさせて頂きました!
今後もこのご縁を大切に、ハラルビジネスの理解を深め伝える仲間であり続けたいと思います。
文責:ハラル・ジャパン協会 事務局 株本あいか
協会の事務、広報を担当。
アブダビに魅了されて以降、世界の食文化巡りがライフワーク。
日本とイスラム圏を繋ぐ協会でニッチな世界のニュースを執筆開始。
事務の傍ら、イランの宮廷舞踊ペルシャンダンサーとしても活動中。