ヴィーガンメニュー導入をしたらメリットがあるのか。ヴィーガン対応の和食屋さんと洋食屋さんに聞いてみました
インバウンド再開や環境問題に伴って、飲食店は政府や顧客からヴィーガンメニューの導入を促されています。しかし、日本においてヴィーガン人口はまだ少ないため、本当にお店にとってメリットがあるのでしょうか?また、ヴィーガンメニューの導入には、時間や材料の調達などが必要で、負荷が大きいことも事実です。
今回は、ヴィーガン対応をされている飲食店2店にインタビューをし、状況を聞きました。その2店舗は、護国寺駅近くにある自然派十割蕎麦Sobafulと、高田馬場駅近くのGreat Lakesというバーガーショップです。インタビューを以下でお読みください。
お店をいつオープンしたのか、ヴィーガンメニューはいつから提供し始めたのか
自然派十割蕎麦Sobafulは2019年に高田馬場で初めてお店を開き、その後護国寺へ移転。移転前から少しずつヴィーガンメニューを始めており、移転してからはずっとヴィーガン対応メニューも提供し続けています。
Sobafulを始めた高見さんは現在ナチュラルフードコーディネーターとダイエットトレーナーもされています。高見さんは元々から自然派、無添加などに興味を持ち、なるべく地元の食材を使った安全な食事を提供したいという思いからヴィーガンメニューを始めました。
Great Lakesのアメリカ出身オーナーのJohn Pennyさんも同じく、2019年のコロナパンデミック前にお店をオープンしました。彼は元々ヴィーガンですが、初めから完全にヴィーガンのお店を作ればお客様が集まらないだろうと心配していたため、ヴィーガンメニューの他にビーフバーガーも提供することから始めました。ただし、コロナパンデミックでお店が休業になってしまったり、大変な時期が続けたりしました。パンデミックをきっかけにし、お店のメニューを更新し、すべてのメニューをヴィーガンに変えました。
どんなメニューを提供しているのか
Sobafulでは通常のざるそばの他、サラダそばやベジネバそばなどのオリジナルメニューもあります。そして、チヂミ、ベジタコミートガレットやデザートとして黒蜜きなこの豆乳アイスを提供しており、完全ヴィーガンのお店ではないものの、充実したヴィーガンメニューを提供しています。
Great Lakesではバーガー3種があり、それぞれトッピングを加えてカスタマイズが可能です。ポテトのサイドメニューと季節のアイスとシェイクも提供しています。バーガーのパティは大豆ミートではなく、シイタケや玄米などの日本の素材を使ったパティで、うま味が広がっています。すべての材料は手作りで、バーガーと言ってもとてもヘルシーに作られています。
ヴィーガンメニュー開発時に大変なことについて
Sobafulの高見さんは、そばメニューに関して、つゆを精進つゆに変えればヴィーガン対応ができるため、特に困難を感じませんでした。
Great LakesのJohnさんは、一番大きな困難はバンズの仕入れでした。ヴィーガンバンズが気軽に調達できるところがなく、お店の近くにあるベーカリーに依頼し、カスタムでヴィーガンバンズを作ってもらっています。
ヴィーガンメニュー導入後に感じられたメリットやヴィーガンメニューを選んでくれるお客様について
Sobafulでは、お客様の約3割がヴィーガンメニューを選んでいるそうです。中にはヴィーガンのお客様もいれば、ヴィーガンではないお客様もヴィーガン対応メニューの中から注文されることがあるそうです。また、近くに学生寮があり、ヴィーガンや宗教などで食事制限のある留学生も食べに来られます。ヴィーガンメニューがあるからこそ来られるお客様もいるという印象だそうです。
Great Lakesに関して、ビーフバーガーを提供していた時に5割以上の顧客がビーフバーガーを注文していたそうです。完全ヴィーガンメニューへ変えた時に、それまでビーフバーガーを食べに来ていたほとんどの常連客が気にせずその後も食べに来てくれているそうです。その理由として、Great Lakesのバーガーの味が好きで、パティがヴィーガンパティに変わったとしても美味しいと感じているからです。
実際にはコロナパンデミックの中にGreat Lakesは完全にヴィーガンなお店になったことで赤字から救われたそうです。なぜなら、メニュー更新の際に多くのメディアから取材を受け、話題となりました。さらに、東京在住のヴィーガンの方々からも興味を持たれ、初めて訪れるお客様も増えたそうです。現在は日本人の常連客だけでなく、外国人観光客や近隣にある早稲田大学の留学生なども訪れるようになっています。
ヴィーガンではないスタッフへの研修について
Great LakesのスタッフはJohnさん以外に正社員、アルバイトスタッフが5人います。そのうち2人がヴィーガンです。ヴィーガンではないスタッフに関して、新たなスキルを覚える必要がなく、ヴィーガンの基礎知識と、受注するときに気を付けるべきことに関する研修を行っています。
ヴィーガンメニューの宣伝方法について
両方の店舗はSNSやhappycow.netというヴィーガン、ベジタリアンのお店を検索できるアプリを通じてヴィーガンメニューがあることを知らせています。メディアの協力で注目を集めていることもあります。また、グーグルマップでは4つ星以上の高い評価をいただいています。
ヴィーガンメニューを始めることを検討しているお店へのアドバイス
Great LakesオーナーのJohnさんは、「ヴィーガンメニューの導入は皆様が思っているほど難しくなく、損することも絶対にありません。ヴィーガンメニューの導入で、市場を広げて、新たな顧客を獲得できるので、売り上げアップになります。簡単なことから始めるだけでも良いので、是非やってみてください!」と力強いアドバイスをしてくださいました。
まとめ
今回の記事では、ヴィーガンメニュー導入のメリットとデメリットについて、2店舗の飲食店にインタビューをしました。その結果、ヴィーガンメニュー導入は思ったほど難しくなく、むしろメリットのほうが大きいことがわかりました。
ヴィーガンメニュー導入を検討しているお店の方は、ぜひこの記事を参考に、勇気を出して始めてみてはいかがでしょうか。きっと、お客様に喜んでいただけるはずです。
Vegan Omotenashi 代表 テオドレスク アリーナ
ルーマニア出身で、2015年に在日。その直後、ビーガニズムを発見し、段階的にヴィーガン生活に移り変わった。 彼女は日本でヴィーガンとしての生活の厳しさに気がつき、 ヴィーガンホスピタリティの研修プログラム に参加し、資格を獲得し、2022年にヴィーガンホスピタリティコンサルティング事業である「Vegan Omotenashi」を立ち上げた。
Vegan Omotenashiの目標は、日本全国のレストランやホテルにヴィーガンに関する教育とメニュー導入サポートを提供し、ヴィーガンの顧客へ対応を推進することである。