インドネシアハラールコスメ事情 -前編-
こんにちは!
ハラル・ジャパン協会 コンサルタント の 佐久川です。
今年の7月にインドネシアの首都、ジャカルタへ行って参りました。
ジャカルタへ行った目的はただ1つ。「ハラールコスメ」の調査です!
今回は今注目のマーケット、ハラールコスメの現状について
前編と後編に分け、書いていきたいと思います。
まず、「ハラールコスメ」の定義についてご説明します。ハラールコスメとはその名の通り、商品に豚やアルコール、その他の非ハラールものが含まれないものを指します。
化粧品って豚の成分が入っているの!?と思いがちですが、実は化粧品やスキンケア製品によく使用されるグリセリン、グリセロール、脂肪酸、ステアリン酸、ゼラチン、ヘパリン・ナトリウム、コラーゲン、プラセンタなどは豚由来のものが多いのです。
またインドネシアでは現在、国内で販売される幅広い消費財にハラル認証を義務付ける法律が制定されており、化粧品は2026年に適用される見込みです。
では次に、ハラールコスメの市場規模を見てみましょう。
調査会社プレシデンスリサーチによると、世界のハラールコスメ市場規模は2022年に約450億ドルに達し、2030年には3倍以上の約1620億ドルに達する見込みだと言われています。
中でもインドネシアは世界第4位、2億7000万人の人口を抱え、その9割がイスラム教徒であり世界最大級のムスリム人口を誇るため、インドネシア内におけるハラールコスメの市場は世界から今、とても注目されています。
実際にインドネシア国内における、化粧品の市場は右肩上がりで伸びており、英調査会社ユーロモニターによると、21年は前年比9%増の71億ドルと、タイ(69億ドル)を初めて上回り、東南アジアの主要6カ国で最大となっています。この結果については、インドネシアの若い世代から現在大人気の韓国カルチャー流入を機に美容への関心の高まり、また経済成長によって購買力が上がったことが要因だと言われています。
さて、ハラールコスメの規模感がわかったところで、次に、実際に現地へ足を運んで感じた状況について、ここからは少し個人的な感想も交えながらレポートしていきたいと思います。
インドネシアのジャカルタに到着して早々、ハラールコスメを求めてショッピングモールへ向かいました。
ジャカルタといえば、まるでその経済発展を象徴するかのように大きなショッピングモールが沢山あります。私が向かったのは、グランドインドネシアという、高級の部類に入り、最大規模を誇るモールです。
迷子になりそうなほど広いモールの中でコスメ売り場を探していると、、
早速、SEPHORAを見つけました。SEPHORAはフランス、パリで1970年に創業し現在はLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン傘下で化粧品や香水を扱う専門店です。
扱う商品は、ハイブランドの化粧品など高級なものを多く取り揃えています。
店内に入ると、イスラム教徒のお客さんもいるものの、どちらかというとインドネシアにおいて富裕層の割合を占める中華系のお客さんが多いイメージを持ちました。
SEPHORAの中に、ハラールコスメは置かれているのか?と思い調査をしていると、
「ESQA(エスカ) 」というハラール認証を取得しており、新興ブランドとして注目されているヴィーガン&ハラール対応コスメのブランドを見つけました。
2016年に創業したESQAは、2022年11月には英国の食品・日用品大手ユニリーバなどから約600万ドル(約8億円)を調達するなど、現地で注目のスタートアップ企業です。
ESQAの価格帯は、高級化粧品ブランド販売店に並んでいるにもかかわらず、決して高すぎない値段で、デザインは可愛らしくもどこか欧米系ハイブランドを感じさせるようなスタイリッシュさがあり、女の子ならつい手にとりたくなってしまうようなデザインのものばかりでした。
ESQAの特徴として、ハラールだけではなくヴィーガンに対応している点もあります。
まずはインドネシア内でブランドを確立し、その後、ベジタリアン・ヴィーガンの方が多い欧米へも進出を目論んでいることを感じました。ヴィーガン&ハラールコスメは、「ノーアニマル」という観点からいわゆる、「アニマルウェルフェア」(動物福祉)としても世界から注目されています。
モール内を一通り回った後、結局、高級系のモール内では数多くのハラールコスメが販売されているのを見つけることができませんでした。
インドネシアハラールコスメ事情 – 後編- につづく
【ライター紹介】
佐久川 優衣
ハラルジャパン協会 コンサルタント
Instagramでムスリムインバウンドに向け日本のハラル情報を発信し多くのファンを持つ YUIHALALとしてインフルエンサーとしても活躍中。