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【オーストラリア】メルボルンにおけるムスリムやハラルについて

2024.01.05
海外レポート

メルボルンは、その多様な文化的背景と民族的多様性で知られています。2023年の人口は約523万人に上り、中国、英国、オーストラリア、インド、アイルランドの血統が最も一般的です。特に、ポイントクック(Point Cook)という郊外地域は146カ国から来た人々が記録されており、メルボルンの多様性を象徴しています(参照:City of Melbourne Census of Land Use and Employment)。

 

Image from (www.estproperty.com.au/lets-move-to-point-cook/)

 

この多文化都市では、宗教的多様性も顕著です。イスラム教徒のコミュニティはメルボルンで重要な役割を果たしています。オーストラリアの人口の約3%がイスラム教徒であり、そのうち約40%がメルボルンに住んでいます(参照:eMelbourne – The Encyclopedia of Melbourne Online)。ビクトリア州全体で見ると、イスラム教徒の人口は約270,000人で、州の総人口の4.2%を占めています(参照:Australian Bureau of Statistics)。ビクトリア州のメルボルン市内では、イスラム教徒の人口は約25,000人で、市の総人口の約5%を占めています。

 

メルボルンのイスラム教徒コミュニティは、多様な国籍や文化的背景を持っており、中東、東南アジア、アフリカ、ヨーロッパからの移民が含まれています。これにより、メルボルンのイスラム教徒のコミュニティは非常に多様で、それぞれの文化がハラル食品の選択に反映されています。

 

このような背景から、メルボルンではハラル食品の需要が高まっています。特に、イスラム教徒の人口が増えるにつれ、ハラル食品を提供するスーパーマーケットやレストランが増えてきています。例えば、プレストン(Preston)やコバーグ(Coburg)などの郊外地域では、ハラル食品を専門に扱うスーパーマーケットや肉屋が増えており、イスラム教徒のニーズに応えています。ハラル認証を受けた牛肉、鶏肉、加工食品は、イスラム教徒だけでなく、健康や倫理的な理由からハラル食品を選ぶ消費者にも人気です。

 

また、レストランの分野では、特にメルボルンのCBD(Central Business District)や北部郊外には、多様なハラル認証を受けたレストランが存在します。例えば「A1 Bakery」や「Half Moon Cafe」、そして「Rumi Brunswick」は、地元のイスラム教徒の間で高い評価を受けています。これらのレストランは、伝統的な中東料理やアジア料理を提供しており、メルボルンの食文化の多様性を反映しています。

  • A1 Bakery: レバノン料理に特化したベーカリーで、お手軽なクイックバイツとして知られています​​。
  • Half Moon Cafe: ファストフードを提供するカフェで、手軽ながらも美味しい食事が楽しめます​​。
  • Rumi Brunswick: レバノンと地中海料理のレストランで、風味豊かな料理が自慢です​​。

 

メルボルンの多様な文化的背景により、ハラル食品市場は今後もさらなる成長が期待されます。イスラム教徒のニーズに応えるための商品やサービスが増えることで、市民の相互理解を深め、多文化共生のモデルとしての役割を果たしています。ハラル食品の普及は、メルボルンの多様性と包摂性をさらに強化する一助となっており、様々な文化的背景を持つ市民が共存し、互いに学び合う機会を提供しています。

 

  • メルボルンのハラル食品市場:経済成長の新たな動力源

  • オーストラリア、特にメルボルンは、多文化的な背景を持ち、世界有数のハラル食品生産国としてその地位を築いています。2015年には約130億豪ドル(約1兆2,148億5,000万円)のハラル食品を輸出し、この数字はオーストラリア全体の食品・飲料輸出の約66%に相当します(参照:Salaam Gateway)。特に、ハラル羊肉の輸出は15億豪ドル以上(約1,400億円以上)に上り、中東および北アフリカ(MENA)地域への輸出が大きなウエイトを占めています(参照:Salaam Gateway)。
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  • オーストラリアは現在、イスラム協力機構(OIC)諸国へのハラル食品及び飲料の第四位の輸出国であり、2018年には78億豪ドル(約7,289億1,000万円)の商品を輸出しました。今後10年間で輸出額が2倍の146億豪ドル(約1兆3,635億円)に達すると予測されています(参照:Australia Asia Forum)。
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  • メルボルンを含むオーストラリア全体のハラル市場は、国内のイスラム教徒人口(全人口の約2%)をはるかに超えた規模で成長しています(参照:Salaam Gateway)。この成長は、輸出市場における巨大な潜在的な可能性によるもので、ハラル認証された製品が、オーストラリアの食品産業に新たな商機をもたらしています。
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  • 「State of the Global Islamic Economy Report 2019/20」によると、ムスリムは2018年に全世界で37兆ドル(約2.02兆豪ドル、約1兆8,895億円)をハラル食品に費やし、年間5.1%の成長率を示し、2024年には1.97兆ドル(約2.90兆豪ドル、約2兆7,108億円)に達すると予測されています(参照:Food Processing)。
  • 国内市場では、ハラル認証食品の需要も増加しており、年間約17億豪ドル(約1,588億6,500万円)が消費されています。
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  • オーストラリアのムスリム人口は、現在約50万人で、2050年までに70万人に達すると予測されています。また、2018年には56万5000人のムスリム観光客がオーストラリアを訪れ、ムスリム消費者による総消費額は78億豪ドル(約7,289億1,000万円)に上りました(参照:Food Processing)。
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  • 2022年におけるオーストラリアのハラル食品市場は、前年比72%の成長を遂げ、2017年からの期間で4.51%のCAGR(年平均成長率)を記録しました(参照:6Wresearch)。
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  • これらの事実は、メルボルンおよびオーストラリア全体が、ハラル食品市場の成長によって、地域経済に重要な役割を果たしていることを示しています。国内市場と国際市場の両方での需要の増加は、今後も続くと予想され、これによってさらなる経済的成長が期待されます。
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  • 文責;河野 陽飛
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