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ベトナム旅行から見えた、ムスリムインバウンド対応の“現場力” ― ハノイ・ホーチミン滞在から読み解く実務的対応 ―

2026.01.23
海外レポート

ハラル・イスラム市場を専門とする立場として、2025年12月にハノイおよびホーチミンに約1週間滞在し、ベトナムにおけるムスリムインバウンド対応の実情を確認しました。

本稿では、制度や認証といった枠組み以前の、現場レベルでの対応や考え方に焦点を当てて整理します。

 

両都市では、欧米や東アジアからの旅行者に加え、インドネシアやマレーシアなど近隣のムスリム国からの観光客を多く見かけました。ヒジャブを着用した女性も街中で自然に見られ、ムスリム旅行者が特別な存在として扱われている印象はありませんでした。

 

日本では、ムスリム旅行者への対応を「特別な配慮」や「難しい対応」と捉えがちですが、ベトナムではそうした空気感はあまり感じられません。観光客の一属性として、自然に受け入れているという印象を受けました。

 

宿泊先のホテルでは、客室内のコーヒーとしてハラル対応のインスタントコーヒーが用意されていました。大きくハラル表示をしているわけではありませんが、必要とする人が安心して選べる選択肢を用意しておく姿勢は、現実的で、現場感のある対応と言えます。
日本では「表示がないと不十分」「認証がないと提供できない」と考えがちですが、実際のインバウンド対応では、完璧さよりも“選択肢を用意すること”が安心感につながる場面も多いと感じました。

ホーチミン市内には大きなモスクがあり、その周辺にはハラルフードレストランが集積しています。加えて、ヴィーガン向けのバインミー専門店も見られ、宗教対応に限らない「食の多様性」への配慮が進んでいました。

ムスリム対応をきっかけに、結果として多様な食習慣を受け止める環境が整っている点は、観光地としての強みでもあります。

飲食店での対応も柔軟でした。豚肉を使用しないよう要望した際には、バインミーのパテ抜きや、バインセオの具材調整などに自然に応じてもらえました。

特別な説明や強い要請をしなくとも、そうした要望が前提として理解されている点から、観光地としての成熟度がうかがえます。

 

今回の滞在を通じて強く感じたのは、ベトナムのムスリム対応が「認証ありき」ではなく、まずは受け入れる姿勢を優先している点です。

完璧な対応を目指す前に、現場でできる工夫を積み重ねる。この考え方は、日本のインバウンド対応を考えるうえでも、多くの示唆を与えてくれます。

 

弊会では、飲食店・自治体向けのムスリム対応研修や現場アドバイスを行っています。まず何から始めるべきか悩まれている方こそ、ハラル・ジャパン協会へぜひ一度、ご相談ください。

 

 

 

文責

ハラル・ジャパン協会

ハラルビジネスコンサルタント 田上明日菜

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