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「アメリカ出身ムスリム投資家が語る、日本の魅力とは?— 13回 訪れて感じた“安全さ”と“心が通じる文化”」

2025.03.12
企業インタビュー
海外レポート

はじめに

今回は日本好きなアメリカ人ムスリムのManafさんに日本について語っていただきました。日本で生まれ育った私が気づかなかった視点やエピソードをたくさん共有していただいたのでどうぞお楽しみください!
※本記事はManafさんの個人的な意見であり、ムスリム全体の意見を代表するものではありません。

 

 

1. Manafさんについて簡単に自己紹介お願いします

私は現在、バングラデシュ系アメリカ人としてカリフォルニアに在住しながら個人で投資マネジメントを行っています。学生時代は医療の道を志してメディカルスクールに通っていましたが、旅をしながらどこにいても仕事ができる自由なライフスタイルを求めた結果、個人投資家として働くことを選びました。
旅をすることが好きで今までで57か国程度訪れています。

 

 

2. 一度訪れると忘れられない? 日本の魅力とは

初めて日本を訪れたのは数年前です。年に2〜3回、すでに13回も訪れています。最初は正直、それほど大きな期待をしていたわけではありませんでした。でも、実際に来てみると、日本は想像以上に素晴らしい国でした。訪れるたびに「ここに住みたい」と思う気持ちが強くなります。ビザを取得し、日本でビジネスを始めることも考えています。

特に印象的だったのは、人々の礼儀正しさとサービスの質の高さです。お店に入ると、「いらっしゃいませ」という挨拶が当たり前に交わされ、どこへ行っても列を作って順番を守る。電車の中も静かで落ち着いた雰囲気でした。これらの文化的な違いが、とても心地よく感じられました。

 

 

 

3. 何度も訪れたくなる! 日本旅行の楽しみ方

私にとって、日本はとても居心地がいい国です。街は綺麗で交通の便も良いです。特に電車は最高です。アメリカではニューヨークやワシントンくらいでしか便利な鉄道システムはありませんが、日本ではどこへ行くのもスムーズで時間も正確です。さらに、一人でも気軽に食事ができる文化も好きです。おひとり様、シャイな人に優しい国だと思います。

特に北海道は毎回訪れるお気に入りの場所です。冬のアクティビティが好きで、特にニセコでのスキーは外せません。ほかにも高尾山でのハイキングやコーヒーショップ巡り、ラウンドワンで遊ぶのも楽しみのひとつです。

 

 

4. 日本でムスリムが直面する課題とは?

ムスリムとして日本を訪れることについても、私はポジティブに捉えています。

確かにハラルフードを見つけるのは簡単ではありませんが、探せばありますし、最近は地方でも見かけるようになりました。Google検索を駆使すれば、意外と選択肢はあります。私のお気に入りの日本食は、ラーメン、チキンカツカレー、牛カツです。親子丼や定食、普通のハンバーグがハラル対応になってくれたら、もっと嬉しいですね。どうしてもハラルフードが見つからないときは野菜やシーフードなどのメニューを選択して食べています。ただ、豚肉を避けるのは難しく、以前カレーを頼んだときに小さな豚肉の破片が入っていたことがあったのは残念でした。

最近は日本を訪れるムスリムの数が増えていると感じていて、以前はすぐに入れたハラル対応のレストランでも、最近は行列ができることが増えました。

お祈りに関しても、プレイルームやモスクを探して実践しています。道端でお祈りをするムスリムの方もいますが、私自身は少し抵抗を感じます。そのため、できるだけプレイルームやホテルに戻って落ち着いてお祈りをするようにしています。

 

 

5.  アメリカ育ちのムスリム視点で見る、アメリカ、日本、ムスリムについての価値観

日本とアメリカの文化の違いには驚くことも多いです。例えば、日本の「気遣い」の文化は、私の価値観にとても合っています。公共の場で静かにすることや、誰かを不快にさせないように振る舞う姿勢は、私の育った環境とも通じるところがあります。

一方で日本のルールの多さには少し戸惑うこともあります。例えば、新幹線の定期券を購入したとき、プラン変更で返金をお願いしましたが、すでに200円分使用していたため全額返金ができませんでした。ルールが厳格なのは理解できますが、もう少し柔軟性があればいいなと思うこともあります。

アメリカと違い日本では露出の多い過激な広告や服装が少ない点は、ムスリムの価値観と共通する部分があると感じます。また、清潔さを大事にする点も、日本とムスリム文化の共通点だと感じます。トイレのビデの使用や、家に入る際に靴を脱ぐ文化も、ムスリムの生活習慣と似ています。

 

 

6.  ムスリムとしてアメリカで感じるアイデンティティの葛藤

アメリカでは、ムスリムであることに悩む場面もあります。アメリカはムスリムに否定的な傾向があり、祖国であるアメリカが歴史的にアフガニスタンを攻撃したり、ムスリムに対して攻撃的な政策を取ることが多いのは複雑な気持ちになります。

一部の人は「アメリカでは誰でも自由に声を上げられる」と言いますが、実際には発言によって逮捕されたり、仕事を失ったりするリスクが伴うのも現実です。

 

 

 

 

7. 日本は安心できる国なのか?

アメリカと比べると、日本は安心感のある国です。荷物を置いて席を取っても盗まれませんし、夜に一人で歩いていても怖くありません。アメリカでは、特に田舎ではムスリムとして生きるのが難しいこともあります。都市部では問題ないことが多いですが、それでも差別を感じることはあります。

日本は私にとって特別な場所です。価値観が合いますし、生活のしやすさも抜群です。私にとって、日本は「心地よい」、「絵になる」、そして「安心感」のある国です。その魅力に惹かれ続けています。

 

 

 

8. インタビューを終えて

今回のインタビューを通じて、日本がムスリム旅行者であるManafさんにとってどのように映るのか、またアメリカと日本の文化の違いがどのように感じられるのかを知ることができ、とても貴重な機会でした。また、日本の魅力だけでなく、ムスリムとして直面する課題や、日本が持つ意外な共通点についても深く理解することができました。これまで気づかなかった視点を知ることで、日本がより多様な文化を受け入れる可能性について考えるきっかけにもなりました。

 

 

文責:ハラル・ジャパン協会 コンサルタント 田上明日菜
各国の食文化や旅行を通じて異文化理解を深めることが趣味。
イスラム文化への興味をきっかけに、市場の可能性と文化的な違いの魅力に気付き、ビジネスの視点から深く関わるようになる。
主にクライアントのイスラム市場進出をサポートしながら、日本とイスラム圏の架け橋となる情報を発信中。

 

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