MIHAS最終日、一般消費者向け販売会で見えた日本商品の可能性 (マレーシアレポート3/4)
マレーシア・クアラルンプールで開催された「MIHAS 2025(Malaysia International Halal Showcase、9月17日〜20日)」 最終日には、一般消費者(to C)を対象とした販売会が開催されました。
展示会というとB to B商談が中心のイメージがありますが、この最終日の消費者向けイベントは、現地市場で日本商品の受容性を直接確認できる貴重な機会となります。
弊会ブースでも一部のお客様の商品を実際に販売しましたが、その売れ行きは大変好評でした。特に人気を集めたのは、ラーメンやお菓子類といったカテゴリ。マレーシアでは手に入りにくい、珍しい日本の商品という点が大きな魅力となり、次々と手に取っていただける結果につながりました。やはり「現地で買えない特別感」こそが、日本ブランドの強みを発揮する場面だと感じます。
一方で、販売現場を通じて改めて気づかされたのは「売り方の違い」です。日本ではスーパーやコンビニで、消費者が自分のペースで商品を選ぶスタイルが一般的です。静かに、じっくりと比較しながら買い物をする姿が当たり前です。ところが、マレーシアの現場ではこの静かなアプローチだけでは十分に機能しませんでした。
実際に現場で反応がよかったのは、商品の魅力をきちんと説明し、試食や会話を通じて消費者とコミュニケーションを取るスタイルです。「このラーメンは日本で人気の味です」「こちらのお菓子は日本ならではの原料を使っています」と一言添えるだけで、購買意欲は大きく変わります。中には「日本に行ったことがある」「日本で見たことがある」と会話が盛り上がり、そのまま購入につながるケースも多く見られました。
さらに印象的だったのは、価格以上に「体験」が重視されている点です。実際に食べてみて「おいしい!」と笑顔になった瞬間に財布を開く消費者が多く、日本の展示会場ではあまり見られないダイナミックな購買行動でした。言い換えれば、ハラル市場における販売は、単なる商品の並べ売りではなく、体験型のプロモーションが不可欠だということです。
この最終日の販売会を通じて、日本企業が海外で成功するためのヒントがいくつも得られました。
・「珍しさ」や「日本らしさ」を前面に出すこと
・説明や試食を通じた双方向コミュニケーション
・商品を通じて「体験」を提供する発想
これらは、マレーシア市場だけでなく、他のイスラム市場でも共通するポイントでしょう。今後、単なる商談だけでなく、こうした現地消費者向けの販売イベントを積極的に活用していくことが、日本企業にとって市場浸透の大きな一歩になると考えます。
展示会の最後を飾るこの to C 販売会は、日本商品の強みを再確認すると同時に、現地での売り方を学ぶ実地研修のような場となりました。海外展開を志す企業にとって、MIHASの「最終日」はまさに見逃せない実践の場だと言えます。
ハラル・ジャパン協会では今後も、現地の消費者に直接アプローチできる場を活用しながら、会員企業の商品を広めるサポートを続けていきます。マレーシアをはじめイスラム市場での展開をご検討の際には、ぜひ弊会までご相談ください。
文責
ハラル・ジャパン協会
ハラルビジネスコンサルタント 田上明日菜