東ヨーロッパでの食の多様性状況を視察してきました
8月に母国のルーマニアに行ってきました。今回は東ヨーロッパに行って、食の多様性について気が付いたことについて解説します。
ルーマニアは東ヨーロッパに位置しており、農業、家畜が主の産業の国です。その理由もあり、昔から食文化の中で、肉製品やチーズ、卵などが多く含まれています。
ただし、主な宗教は正教で、「ファスティング」という習慣があります。ファスティングとは、動物性の食品とお酒は消費せず、穏やかに過ごすべき期間です。食事に関してはほぼヴィーガンと同じですが、はちみちを食べても問題ないと認識されています。
基本的に毎週の水、金や、イースターやクリスマスなどの宗教的に重要な時期の直前までの数週間ファスティングを続く人が多くいます。他国では宗教は厳しく強制され、すべての人々はお祈りの時間などを守っている国がありますが、ルーマニアの正教は比較的にゆるく、すべての人がきちんとファスティングをするわけではありません。
そうは言っても、ファスティング期間に動物性不使用の食品や飲食店のメニューの重要が高いです。ルーマニアのヴィーガン人口に関する具体的なデータはないですが、ルーマニアのヴィーガン用のSNSグループの参加者は8万人以上います(国の人口は2000万人近く)。日本では、似たようなSNSグループの参加者は2万人以上ですが、その中には外国人観光客もいます。
ルーマニアに行って食の多様性について気が付いた3点をご紹介します。
1.スーパーでヴィーガン、グルテンフリー対応の商品が多く並んでいます!
特に大き目のスーパーではヴィーガン専用の棚が設置しており、冷蔵品のセクションにもヴィーガンの商品が並んでいます。国際的に認められているヴィーガン認証のある商品が多くあります。
日本ではまだ見かけたことのないようなヴィーガンフィッシュやヴィーガンサラミ、フルーツヨーグルトなどもありました。中にはルーマニア製の商品も、その他ヨーロッパの国からの輸入品も並んでありました。他にグルテンフリー専用の棚もあり、グルテンフリー商品も多かったです。
このような商品が増えている理由として、ファスティングもありますが、近年では若者の中で健康食品への意識が高まっているように感じます。町では自然食のお店などもたくさん見かけます。
2.食の多様性に向けたメニューを出している飲食店が非常に少ない
不思議なことに、スーパーで多くのヴィーガン、グルテンフリーの商品が並んでいるのに、飲食店ではヴィーガン対応のメニューがほとんどないことに気が付きました。
首都ブカレストや大きいな町では完全ヴィーガンな小さなお店は1-2店舗ずつありますが、一般的なレストランは大きなファスティング期間以外で中々対応をしていません。
外食の際に、ある程度ヴィーガン対応ができそうなお店を選びましたが、ヴィーガンも食べれるメニューの多くが売り切れの場合があり、サラダ、フライドポテト、パンなどを食べることが多かったです。
ルーマニアでは飲食店の食べ物の量が多くて、サラダでもお腹がいっぱいになりますが、栄養のバランスが少し気になりました。
お店の店員さんとヴィーガンメニューについて相談をすると、ヴィーガンが通じないことが多く、「ファスティング料理」と聞いたらすぐにわかりました。
ルーマニアの飲食業のヴィーガンなどの食の多様性についてスタッフの知識がまだ足りていないように思いました。
3.ハラル商品は見かけていない。
ルーマニア人口の中でマスリムが0.3%のようで、ハラル認証の食品は中々見かけませんでした。ただし、首都にはハラルの肉の販売店があるようです。
日本と比べても、ファスティング期間以外でルーマニアではヴィーガンや食事制限のある方にとっては外食ができるお店がかなり限られているように思います。一方、スーパーにはヴィーガンやグルテンフリーなどの商品が多く、家庭で料理をされる方には便利だと感じました。ファスティングがなくても、これから日本でも食の多様性を考えた商品がルーマニアのように増えていくことを期待します。
Vegan Omotenashi 代表 テオドレスク アリーナ
ルーマニア出身で、2015年に在日。その直後、ビーガニズムを発見し、段階的にヴィーガン生活に移り変わった。 彼女は日本でヴィーガンとしての生活の厳しさに気がつき、 ヴィーガンホスピタリティの研修プログラム に参加し、資格を獲得し、2022年にヴィーガンホスピタリティコンサルティング事業である「Vegan Omotenashi」を立ち上げた。
Vegan Omotenashiの目標は、日本全国のレストランやホテルにヴィーガンに関する教育とメニュー導入サポートを提供し、ヴィーガンの顧客へ対応を推進することである。