「ハラル対応は「原材料」から始まる?―日本食品メーカーが見落としがちな視点とは」現地取材レポート3/3
2025年5月、バンコクで開催されたアジア最大級の食品展示会「THAIFEX – Anuga Asia 2025(5月27日~5月31日)」に参加しました。
会場にはアジアを中心とした多くの食品関連企業が集まり、一部ブースではイスラム市場を意識したハラル対応の取り組みも見られました。

【タイフェックス会場】
注目すべきは、一般的なお菓子や飲料などの最終製品に加え、原材料やパッケージ素材、さらにはペットフードや蜂蜜、果物といった“意外なジャンル”でもハラル対応がなされていた点です。
「生活の中で口にするもの、身につけるもの、触れるものすべて」に対するハラル性への意識が、着実に浸透しつつあることを実感しました。

【ハラル認証取得商品】
「ハラル(Halal)」とは、イスラム教において「許されたもの」を意味します。
食品分野では、豚やアルコールを含まないことが基本ですが、それだけでは不十分です。製造工程や保管、輸送、流通段階での管理も不可欠であり、「原材料の由来」や「その供給元」にまでハラル性が問われる場面が増えています。
特にインドネシアでは、製品単体ではなく、構成するすべての原材料やパッケージ素材を対象としたハラル認証制度(BPJPH)が導入されています。輸出を目指す企業にとって、この対応は“任意”ではなく“前提”です。

【ハラル認証取得のパッケージ】
この背景を踏まえると、日本の原料メーカーが持つ高度な技術力や品質、安全性は、ハラル市場において一層の存在感を放つ可能性があります。
たとえば、発酵調味料や酵素、天然抽出エキスといった日本ならではの素材は、現地OEMやブランドメーカーにとって「信頼できるハラル原料サプライヤー」となり得ます。
ハラル認証は、最終製品だけをチェックすれば良いというものではありません。構成要素ひとつひとつが審査対象となるため、素材段階からハラル性を担保する視点が、製品開発や輸出戦略を成功させるカギになります。
ハラル市場への本格参入を検討する日本企業にとって、もはや「完成品ありき」の発想だけでは通用しません。
今後は、“どの素材を、どこで、どのように確保するか”というサプライチェーン全体の設計力が問われる時代に入ったと言えるでしょう。
ハラル原料の選定や認証取得に関するご相談はもちろん、弊会では来年度タイフェックス(ハラル・ジャパン協会ショーケース)への出展を企画しております。ご興味ありましたら、ぜひハラル・ジャパン協会にご相談ください。
文責
ハラル・ジャパン協会
ハラルビジネスコンサルタント 田上明日菜