日本のハラルビジネスシリーズ
■海外のイスラム市場の規模
イスラム市場の規模は、ロイターなどの調査によると、2012年に1兆6,200億USドル(試算)だったものが、18年までに2兆4,700億USドルに成長すると予測されていた。うち食品とノンアルコール飲料の市場規模は12年に1兆880億USドル、18年までに1兆6,260億USドルに伸びるとの予測だった。
成長要因は、人口増加と経済成長である。10年には16億人(全世界の人口69億人の23.4%)だったムスリム人口は、30年までに22億人(同83億人の26.4%)に増加すると予測されている。その若年層の多さも注目で、16億人の年齢の中央値が24歳である。
もう1つの要因である経済成長については、イスラム協力機構(OIC)加盟57カ国(シリアは停止中)の13年から18年にかけての年平均成長率予測が世界平均5.3%を上回る6.3%と予測されている。お客様となる人口が増え、経済成長によって所得が上がり、一人ひとりのニーズが多様化するとき、ムスリムに配慮した商品が用意できていれば、ビジネスチャンスが高まるというわけだ。
イスラム市場は低所得、人口増、若年層が多い日本とは逆の魅力あるマーケットであり、インドネシア・マレーシア・バングラデシュ・インド・UAE・サウジアラビア・イラン・エジプトなどの国々があり、世界にはたくさんのイスラム教徒がいる。
■なぜ日本はハラルビジネスに取り組むようになったのか?
GDP世界第3位の日本は、なぜハラルビジネスを始めるようになったのか?
ムスリム(イスラム教徒)の世界人口は現在19億人とも言われるが、世界人口の約4分の1、2100年には人口の3分の1を占めると言われる。そして、人口ボリュームが若く、しかも増え続け、これから経済発展する国々が多く、世界中から注目のマーケットとなっている。日本企業も遅ればせながら、参入し始めたマーケットである。
推定300兆円以上といわれるムスリム市場は、30年までには1,000兆円に達するとの予測があり、その約20%を占めるといわれる食品関連のマーケットは、つまりは現在の約60兆円の規模から約200兆円まで拡大すると考えられる。日本企業には、人口減の少子高齢社会の日本と逆の「未来のマーケット」であると理解すれば整理しやすい。アフターコロナの新しい販路でもある。