コロナが直撃 いままでのハラルビジネスが壊れる!?
■突然見舞われた「コロナショック」
2020年、本来ならば日本が海外に飛躍する輝かしい1年になるはずだったが世界中を襲ったパンデミック(新型コロナウィルスによる感染症)により、ビジネスモデルの変更を余儀なくされることに。
動くな!自宅待機。もちろん海外渡航できず。来年以降も、コロナ禍を意識して対応をしていく必要がありそうだ。大型MICEはオリンピック・パラリンピックだけでなく、万博博覧会、ワールドカップ、国際学会、世界大会などが今後も日本で行なわれると考えられるからである。
ハラルビジネスに関しては、国内においては他のインバウンド関連の状況と同様、コロナ禍により大きな打撃を受け壊滅の危機である。特に飲食店・宿泊施設では顕著である。
インバウンド需要が当分望めない状況ではあるが、労働者、学生の国内在住のムスリムのニーズを取り込む学食・社員食堂や業務用スーパー、ハラルスーパー等はニーズがあり国内販売が注目である。
また、海外の状況にもよるが、飲食店の海外進出による工場の建設なども準備中の企業がある。トリドールなどの大手は、比較的コロナが安定しているシンガポールに進出している。食品、健康食品などの原材料の輸出は好調のようだ。日本も含め、巣ごもり需要が顕著で、通販、宅配、スーパーも国内とおなじように好調のようだ。
■そんな中新しいニーズも
インドネシア・マレーシア・シンガポールなどの東南アジアイスラム市場では、原材料のハラル性をこれまで以上に要求されるようになりつつある。
この状況は、インドネシアのハラル認証制度の移行に絡み、とうぶん続くとみられており、国内メーカーではこれを機にインドネシアのハラル認証(BPJPH)を直接取得することを検討する動きもあるようだ。マレーシア・インドネシアなどは、訪れる度にハラル認証商品が増えているのが目に見えて分かる。
東南アジアイスラム市場では、ハラル対応の分野が食品から健康食品・化粧品・生活用品、最終的には医薬品まで続くことを念頭に置かなくてはならない。今後も常に新しい情報を収集することはとても大切なこと。その1つが、ハラルビジネスを通じた東南アジア・南西アジア・中東・アラブへの輸出・進出・人材マーケットへの参入につながればと期待したい。
■「ウィズコロナ」時代のハラルはどうなる?
日本国政府は30年に農林水産品の輸出額5兆円を目指している。19年の実績9,121億円のおよそ5.5倍で、志の高い目標数字となっている。※2021年1兆円達成
目標達成のためには国際認証(HACCP、GAP、ハラル認証等)の取得も重要と考え、補助金の支援を充実させている。こうした政策に後押しされ、コロナ禍で新しい販路を求めて海外に飛び出す企業が増えると予測される。
国内ハラル市場に関しては、ハラル・ジャパン協会設立以降、約10年で最大の落ち込みを見せている。
国内の主だったハラル認証製品がインバウンドおよび飲食店向けだったことが一因だ。
今後のコロナの影響次第でインバウンドがどれほど戻るのかにもよるが、今年もこの状況は簡単には変わらないと思われる。また、場合によっては今後ハラル認証自体が下火となりピクトグラムなどによる成分表記や動物性原料の不使用などのムスリム限定対応でない方向に進む可能性もある。