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桃太郎食品 小山郁夫 社長インタビュー

2012.10.01
企業インタビュー

「麺大国マレーシアで、日本のそばを広めたい」――これが、20年前に小山章会長(当時社長)が抱いた目標だ。1992年にマレーシアに桃太郎食品を設立し、うどんやラーメンなどの生めん・冷凍麺など日産数万食が可能な製麺工場を作り、市内のスーパーや飲食店に提供した。さらに、マレーシア国内のほか、インドネシアやシンガポール、タイなどの各国にも流通している。


マレーシアでは日本食も、麺も人気はあるが、決して最初から順調だったわけではない。マレーシアと日本では気候や食材、そして水などに大きな違いがある。そこで、何度も試行錯誤を繰り返した結果、今ではマレーシアの気候や水に合わせて微妙な水加減も調整できるようになり、コシのある麺に仕上げることができるようになった。
特に桃太郎食品では「日本の風味」にこだわりたいという思いから、材料は日本産のものにこだわっている。現地で調達している材料は小麦粉と水程度で、そば粉や茶粉などは日本製のものを使用している。セットで販売しているスープも日本で製造したものだ。さらに包装用の袋も日本から輸入している。つまり、現地製造した麺に日本から輸入した袋とスープをセットして販売しているのだ。

日本の食材を生かす

「東南アジアでJAPANのイメージは非常によい。日本製の材料を使っていることでプレミアム感につながっている」と章会長の長男である小山郁男社長は語る。 しかし、日本とマレーシアでの味覚の差は無視できない。たとえば麺の硬さでいえば、日本のようなコシのあるものではなく、やわらかいものが好まれる。ツユも全般的に甘めを好み、色の黒い普通のそばより、茶粉を混ぜた茶そばの人気が高い。国民性の嗜好の違いを理解しつつ、日本らしさをなくさず、どこまで市場のニーズに近づけるかが、一番神経を使うところでもある。ただ最近は、生麺だけでなく冷凍の麺を使う店も増え、コシのある麺を出すところも増えてきたという。 日本へ旅行した人が味や食感を覚え、コシのあるうどんやそばを好むようになっているのではないかと郁男氏は予想する。

ハラル取得に悩まされた7年間

桃太郎食品が自社商品のハラル認定に向け動き出したのは、7年ほど前。納入しているホテルやスーパーなどからの要望がきっかけだった。だがその認証を得るためにはどうしたらいいのか、教科書もなく教えてくれる人もなく、とにかく独学で進めるしかなかった。
しかもハラル認証は、細かい規定なども明らかにされていないため、イスラム教とは、ハラルとは何かを勉強し、それに準拠した製品開発を手探りで進めてきた。しかし、未だ認証の取得には至っていない。日本企業にとって、独自に取得するのはかなりハードルが高いことを実感している。
ただし、これまで東南アジアで展開してきたオリジナルテイスト商品の評判が良かったため、あまり商品は変えたくないという気持が強い。また、アルコールが禁止の中で、商品を長持ちさせるための酒精を使わずに済むにはどうしたらいいか、スープの豚エキスは何を代わりにしたらいいのか、考えなくてはいけないことが山積みだ。
スープについては、これまで取引のあった日本のメーカーに依頼し現在も研究中だという。豚のエキスに代わって、チキンや牛、海産物などを使い、あっさりしているがコクのある味に仕上がるよう工夫を重ねている。 実は、認証が取れてハラルマークを商品につけることができるようになっても、飛躍的に売上が伸びることはないだろうというのが、現在の郁男さんの考えだ。認証マークは「信用性を買う」という意味合いのもの。マークだけでは売上に結びつかない。やはり商品の付加価値は重要だと語る。そのためにも、「JAPAN」にこだわっていきたいという。

収入増えて、日本食に手が届くように

マレー系のマレーシア人も最近は収入が上がってきて、回転寿司店にも来てくれるようになった。今までは収入の面で、新しいものに挑戦する余裕がなかったのかもしれないが、中華系のマレーシア人にようやく追いついてきていると言われている。ただし、寿司や麺以外の日本食は、マレー系の人たちが日常的に取り入れるまでには至っていないのが現状だ。
「日本製は価格面でかなりの高額になってしまい、マレーシアの物価を考えると一般の人には無理だろう」というのが郁男氏の見解だ。また、日本人の味覚との差も、日本企業が苦戦をしている理由のひとつ。たとえば、最近人気が出てきている冷やし中華のタレには欠かせない「酢」も、日本の酢では受け入れられない。尖った酸味ではなく、まろやかな「りんご酢」などにすることにより、現地の人にも好まれる味になった。いかにして市場を掴むか。これにはあらゆる角度から考えていかなくてはいけないことである。
マレーシアは発展している真最中。これからどんどん変わっていく狭間にあるのだろうと、15年この地に暮らしている郁男氏は感じている。経済が発展し収入が上がってくれば、外国の商品にも手が届くようになる。今後ますますマーケットが拡大しそうな予感の中、今も既に中華系の人を中心に健康志向も重視されているという。「健康」「安全」といった新たなキーワードでの付加価値をつけた商品で、さらに可能性の広がりが期待できるのが東南アジア市場だと肌で感じている。
桃太郎食品は今後も、進出したい食品メーカーのOEMなどにも協力し、本物の「日本の食」、本当の日本商品を広めていく考えだ。(杉山)

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