ラマダン シンガポールレポートVol. 3
今回はラマダンが始まったシンガポールのマレー系住民地区「ゲイランセライ」の様子を報告します。ラマダン(断食月)というと暗くて辛そうなイメージがありますが、そんな事はありません。来たるハリラヤ・プアサ(断食明け祝い)に向けて、1ヵ月前から始まる前夜祭のような賑やかな雰囲気があります。
こちらがパヤレバ駅を降りてすぐの特設会場。チャンギ国際空港からMRTの東西線で約20分、ちょうどシティとの中間付近に位置しています。普段は広大な緑地公園なのですが、イベントがあるとこうした巨大テントが設営されます。
大きな広告幕がお出迎え。シンガポール最大のラマダンバザール!!と雰囲気を盛り上げています。
ではどんなお店が出ているのか見てみましょう。
ハンバーガーとパンケーキ。マレーシアハラルマークが確認できます。
こちらはサテーとヨントウフと呼ばれる魚肉系ねりものを焼いて出していました。
TAKOYAKIがありました。でも漢字が変ですね。これもご愛嬌ということで。。。
こちらはバクワのハラルバージョン。バクワとはビーフジャーキーのようなシンガポール名物のおつまみです。シンガポールハラルマークが誇らしげです。
食べ物コーナーは全体の約半分を占めています。おいしそうな匂いがあちこちに立ちこめていて、日本のB級グランプリの様相です。
食べ物ばかりではなく、絨毯があるかと思えば
家具店までありました。
こちらはアクセサリー店。ハリラヤ・プアサでは、女性は新しい衣装で着飾るからでしょうね。
その横には若い女性向けのブティックも併設されていました。
ヘンナと呼ばれるペインティングショップもありました。一ヵ所10分で10シンガポールドル。日常生活でも約1週間は消えないのだそうです。
日没後は飲食が許されていますので、一気に人通りが増えます。
昼間は持ち帰り客が多いのですが、夜は家族や友人との外食客が街に繰り出していました。
今年のラマダンは7月9日から8月7日で、8月8日にハリラヤ・プアサを迎えます。翌日8月9日はシンガポールの建国記念日ですので、今年のハリラヤ・プアサは例年以上に盛り上がりそうです。
今回の取材を通じてハラル認証の浸透度を改めて確認しました。露店でさえハラルマークを掲示しており、ムスリムへ安心感を提供しています。ハラルマークに着目すると、マレーシアハラルとシンガポールハラルが半々といった状況で、マレーシアから出稼ぎに来ている店舗が少なくないことが分かります。
浸透度を客観的に考察するために、Muis(シンガポールハラル認証機関)が公表しているデータをチャート化しました。
2000年から2011年までの認証箇所(レストランや生産拠点)は合計で21,078。近年は年間2500箇所前後で推移しているものの、伸び率は低下していることが分かります。これはシンガポールでのハラルが成熟段階に入っている状況を示唆していると思います。
仮にそうであれば、中間層が増え消費が旺盛な市場は、今後ハラル品質の維持・向上と共に新たなプレーヤーの参加による選択の多様化を求めると推定されます。もともと高品質で知られる日本食品・サービスがハラルに対応していけば、これら市場のニーズに大いに応えられるのではないでしょうか。
(ハラル・ジャパン協会 シンガポール: 横山)
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