日本のハラルビジネスシリーズ 7
ハラルビジネスはV字回復を見せるが・・・
■ISテロ、インバウンドの不振から停滞期の3年間
2015年~2017年の三年間は受難でありました。イスラム教=テロのイメージが先行したことです。
17年のインバウンドでいえば中国をメインとして東アジアからの外国人観光客が第一優先となり、
とても活況であったと同時に、ISテロなどの影響でイスラムに対してのイメージが悪化し、イスラム市場が相当冷え込んだ。
ハラルビジネスの成功者は海外生産組みと原材料輸出組に限られ、国内インバウンド組はハラル認証を取得してもビジネスにうまく活かせないという状況が続いた。
ハラルビジネスをするためには、「ハラル認証を取得しなければならない」という先入観からの停滞
期にあり、インバウンドではハラル(イスラム教徒対応)を前面にアプローチし過ぎたかもしれない。
■大手企業が参入傾向、2020めがけインバウンド加速。そして海外はメガFTA時代に突入
2018年~2019年はISテロが落ち着き、東アジアからのインバウンドが一巡し、一転して大手企業が
本格参入を始めた年でもある。ハラル認証のみにとらわれないムスリム対応ビジネスを足がかりと
して、ハラルビジネスは復調傾向をたどる。
インバウンド需要が大きく伸びることはなかったが、海外進出企業は堅実に進んでいて、東南アジアの経済成長がけん引したと考える。インバウンド・国内イスラム教徒(ムスリム)向けだけでなく、ベジタリアン(ヴィーガン)、オーガニック、グルテンフリーなどの食の多様性ジャンルが大きく広がり、外国人向け対策が広がりをみせた年でもあった。こうした外国人向けの多様性対応商品は、食品以外にも健康食品・化粧品・生活用品等広がりをみせハラルの多様化が始まった。またTPPなどメガFTA(自由貿易協定)もハラルビジネスに活用できそうだと思われ始める。
域内人口約5億人、国内総生産(GDP)は約10兆ドル(約1100兆円)で、世界の約13%を占める。ハラルビジネスも大きな枠組で考えることになる。